今、世の中情報にあふれ、様々なメデイアを通して大量に発信されているけど、疑問に思う内容や報道姿勢も多々あるし、流言飛語に惑わされる日本人の特性がそこに浮かび上がる。 裏にそれを利用しようとするモノの存在が見え隠れする事も・・・ まあ大上段から切るような大袈裟なものではなく気楽に書いてみます。

サーブ その深い沼

数年に1回陥ります

今回は、スピードアップとフォームの簡素化について試行錯誤しています。

以前の記事

これまで、サーブの最速は約250kmと言われてました。

※フラットサーブ

ただ、これは以前の測定方法で初速を測ったようで、今はネット上の通過速度を測るのが主流。

中継を見ると、ネットにかけると速度は表示されませんが、ネット上を通過するとフォルトでも速度が表示されます。

メドベージェフ、キリオスなどが220km前後で最速クラス。

尚、ストロークの最速は150km前後(おそらく初速)と言われます。

ここで疑問が生じます、なぜサーブの速度と70km近くもの速度差があるのでしょうか?

プロなので、どちらも限界まで腕を振っている筈です。

この事に、サーブのスピードアップのヒントがあるのではと考えます。

 

サーブとストロークの違いは、まずスイングが縦振りと横振り、ボールの状態がほぼ止まっているのと、動いてるボールを打つ点などがあります。

ラケットを上から下に振るのと横振りでは、ラケット重量の加わり方に違いがあるのは、ハンマーで釘を打つのをイメージすれば容易に実感出来ます。

止まってるボールと、動いてるボールを打つ場合の違いについては

手出しで打つボールとラリーで打つのとを比べると、前者のほうが早いボールを打てます。

ただ、さほどの違いは感じられないので、大きな速度差の理由にはなりません。

では身体の使い方の差でしょうか?

サーブのフォームは、ダイナミックで膝を深く曲げ、ボディターンを使い腕も大きくスイングしてるように見えます、これが速度差に関係してるのでしょうか?

 

イズナーのサーブ

比較して下さい。

サーブは、ラケットダウンの位置から腕の振りが加速するので、そこに至る過程はスイングスピードと関係ありません。

下から持ち上げてくる動作を省略しても、サーブ自体の速さに影響はないのです。

どちらも膝の屈伸とボデイターンは使っています、これがスピードにどれだけ寄与してるかはわかりません。

次にスピンです。

一般的にファーストはフラットサーブ、セカンドはスピン系にします。

これは単純にダブルフォルトの確率を減らす為です、速度差は通常-30km前後あるようです。

上級者であれば、ゆるく打てば入る確率が高くなるものではないのは理解してるでしょう、また遅いと容易にリターンされる危険も増します。

注目すべきは、フラットサーブとスピンサーブとでスイングスピードに差があるように見えない事です。

では速度差はどこから来るのか?

スピンはスナップバックでかかります、サーブもストロークでも同じ、言わば物理的現象です。

スイングスピードとボールの速度は比例します、ストロークでも同じです。

前述のストロークでの最速150kmは、当然ながらトップスピンがかかったボールスピードです、フラットなら100kmでもコート内に入れるのは無理でしょう。

コート内に入れる前提がなければ、もっとスピードが上がる筈です。

他方、フラットサーブはほとんどスピンがかかっていません。

※イズナーなど高い打点で打てる選手のフラットサーブ

この図はサーブ時の球種による打点の違いです、TWISTがトップスピンと理解して良いと思います。

この図からわかる事は、スピン系は打点が中心からずれてる事です、言い換えれば芯を外してる。

これが飛ばない(スピードが出ない)理由です。

 

さて、サーブは1番重要なショットであると同時に1番難しくもあります。

膝を曲げ左手でトスを上げ、ラケットダウンさせ右手を振り上げていきます、身体は正面に向けてターンして行きます・・・

これらがすべてシンクロしながら動きます。

自分がサーブを覚え始めた頃を思い出してください。

とても1度に出来るものではありません、また段階的に辛抱強くかつ論理的に教えてくれるスクールやコーチは、ほぼ皆無。

また、サーブはフォームを見直す事が大事なので、自分で練習するにしても、映像がないとなかなか欠点が分かりにくいのです。

とりあえず入れる事を優先する結果、自己流の中途半端なサーブになり、それを後から直すのは非常に困難を伴います。

中上級者でも、妙なフォームで威力の無いサーブを打ってる人がけっこういる理由です。

しかし、皆が必ずしもプロのようなフォームを目指す必要はないでしょう。

膝を深く曲げたり身体を反り返したりは、筋力もいるしわずかにタイミングが狂っただけでフォルトします。

また、どれだけサーブの威力に貢献してるのか疑問もあります。

身体の負担を減らし、かつあまり威力を損なわないようにフォームの簡素化と、スピードとが折り合うところを模索しています。

 

まずボディターンの簡素化

殆どの人が、左足先をベースラインにそわせます

アドコートからならまだマシですが、ジュースコートから打つ時も同様にしてる人が多い。

プロがそうしてるからと、何も考えずマネをしてるようです、プロ並みの筋力が無いとこの打ち方は無理なのです、筋力が足りずトスの途中で正面を向いてしまう人が大半です。

アドコートからなら、ベースラインに対して45度程度打球方向に左足先を向け、デュースコートからは60度程度にしています、右足の位置は足先の方向のライン上に踵をおいて、45度開く位置に、これならば適度なボディターンも使えます。

右手はトスと同時にトロフィーポーズの位置に置きます、下から持ってくるタイプでも一旦ここで止まる人が大多数なのです。

かつてアガシは、背中にラケット付けてトスを上げてた時期がありました。

 

グリップとプロネーション

まずグリップですが、イースタンかコンチネンタルでと言われます。

フォアハンドでは様々なグリップの人がいますが、なぜサーブのグリップは薄いグリップなのか?

それはプロネーションが前提だからです、サーブにおけるグリップとプローネーションは表裏一体なのです。

フォアハンドでもプロネーションは使いますが、サーブとはタイミングが異なります。

※詳しくは以前の記事を参照

これもサーブを難しく複雑にしてる要因です。

初心者に横を向いて、コンチネンタルにしてなどと教えても、まともなサーブは打てませんね。

実はプロネーションを使わないでサーブをしてる人はたくさん見かけます。

ママさん達のアンダースピン(スライスではない)サーブが良い例です、あれはボールの下側を叩くので薄いグリップでは打てません、最初から厚い握りのままで打ちます。

ならばフラットサーブも打てると考えるのは道理です。

ただし、無回転に近いフラットサーブになるので、打点の高さがかなり必要になります。

また、厚いグリップだと薄いグリップよりラケットの打点を高くする事が出来ます。

それぞれのグリップで握り、腕を真っ直ぐ伸ばしてみるとわかります、これは手首の関節の構造上です。

ではスピン系はどうでしょうか?

前述の図を見ると、スライスサーブの打点だけがボールの中心より右側です。

スライスサーブの分解写真を見ると、ボールとラケットには角度が付いて当たっています。

プロネーションの途中で打っていると言えます。

ならば、最初から角度を付けたグリップで、プロネーションを使わずに打っても同じです。

実はサーブにおけるプロネーションはとても厄介なのです、言わばサーブ沼の中のさらに沼。

同じ位置にトスを上げて打ってもサーブの方向が定まらないのは、プロネーションのタイミングが合っていないからです。

またプロネーションをする事が、スピードアップにどれだけの効果があるのかわかりませんね、ならば使わないほうが良いのではないか?

プロネーションに関して、無意識で腕を振ると自然に内転(回外から回内へ)するとの意見があります。

はたしてそうでしょうか?

トロフィーポーズから検証すると、厚い握りより薄い握りのほうが、ラケットダウンに至る腕の動きがスムーズに出来ます。

これは手首と肘の関節の構造上そうなるようです。

では、その動きを省略してあらかじめラケットダウンの位置に置くのはどうでしょうか?

検証しましたが、明らかにスイングスピードが遅くなります。

ラケットを、トロフィーポーズの位置からラケットダウンして振り上げていく動きは、連続する必要があります。

以上を踏まえた上での結論は、やはり安定化とスピードの折り合いをどこにするかと言う事になります。