今、世の中情報にあふれ、様々なメデイアを通して大量に発信されているけど、疑問に思う内容や報道姿勢も多々あるし、流言飛語に惑わされる日本人の特性がそこに浮かび上がる。 裏にそれを利用しようとするモノの存在が見え隠れする事も・・・ まあ大上段から切るような大袈裟なものではなく気楽に書いてみます。

ズベレフのキラーショット

先日のマドリード・オープンの決勝でのズベレフのショットです、試合の中でのショットに至るタイミングと打ち方を解析しました。

プロだからこそ出来るショットではありません、背景には合理的な体の使い方とスイングがあります。 試合の中で大きな武器となるショットです。

動画がUP出来ないので静止画の連続になりますが、ひとコマづつ見ても興味深いショットなのがわかります。 録画してある人は併せて見ながら読むと理解しやすいと思います。

第2セット、ズベレフ2-1 40-0からの場面です。 ズベレフはセカンドサーブ、ティエムはバックハンドのスライスでリターン。 両者の立ち位置はここ、手前がズベレフ奥がティエムです。 甘いリターンではなく、ズベレフの右足がベースラインにかかってる事からもわかるように、短いボールでもありません。

ティエムはズベレフの立ち位置から、狭いフォア側より逆クロスのバック側にボールが来るのを予測し、センターやや左側に立ってます。

セオリー通りと言えます、ズベレフの構えからコースを読み取るのは難しかったのでしょう。 ズベレフはスクエアとオープンの中間のスタンスです、もちろん意図的にでしょうが、この構えからはコースを予測するのは難しいのです。

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ズベレフはストレートに打ち、予測が外れたティエムは、多少足が滑ったせいもありエースになりました。ショットの分解写真です。 画像画像 画像画像 画像画像 画像画像 画像 ボールが低いので右肩が下がっていますが、すくいあげるショットではありません。 右側斜めに傾いたスイングプレーンと考えるとわかりやすい。

  オープンスタンスで軸足は右脚です。 バックスイングのトップの位置、右手首のレイドバック(背屈)、ヒットポイントでの下向きの面で一気に振り抜きます。

ボールは低く出ますが充分なトップスピンがかかっています。

またボールを捉えるタイミングですが、ライジングではなく落ちぎわです。

ボールのバウンドは地面から同じ高さになるポイントが2箇所あります、上昇過程と下降過程で同じ高さを通過します。

上昇途中で打つライジングの方がより前でボールを捉えます。

技術的にはライジングのほうがボールのスピードが速く、ピンポイントで打たないといけないので難しい。

前々で打つ事は相手にもプレッシャーを与えるので有利になります。

ただ、最近の傾向としてはどちらでも打てるケースでは、ズベレフのように落ちぎわを選択する場合が増えてるようです。 ナダルや錦織も以前よりベースラインから後ろにポジョンを取ることが多い。 どうしてでしょうか? ライジングと落ちぎわでは、同じスイングをしてもトップスピンのかかり具合が違うのです。

下向きに角度をつけたラケット面でスピンをかけられる技術を持ってる前提ですが。 推測するに、上向きに上昇するボールの運動エネルギーと下降する運動エネルギーの違いや、ストリングスにかかる(引っかかる)力の微妙な違いだと思われます、またライジングの方がボールは低く出ます。 4、5枚目のラケット面とボールヒットの位置に注目して下さい、サーブの解析の中での位置と上下が違うだけです。

メインとクロスのストリングスによるスナップバックでトップスピンがかかります。

※ボールに対して、ストリングスが平行か直角に当たらないとスピンがかからない(スナップバック効果とは言いたくないようです)などと書かれてるのを目にしました、この記事の後に書かれてます。

暗に、ラケット面がボールに対して斜めに当たる場合は、スピンがかからないと言いたいようです。

そもそも、ラケット面を正確に平行か直角にボールに当てるなどプロでも不可能です。

それでも彼らの打球にはすさまじいスピンがかかっています。

プロほどのスイングスピードは無理にしても、中級者程度なら実際にスイングして打ってみれば、斜めに当たろうがスピンがかかるのはすぐわかる事です。

どうしてそんな発想になるのか理解に苦しみます。 上級者であれば、ラケットを通して手元に伝わる感覚でスピンの量・程度がわかります、初心者程度の認識で語って欲しくないものです。

ネットからの距離、相手の立ち位置、ボールの勢いと打つタイミング、全てが一瞬の判断です。

むろん、コースを読まれないようにしなくてはいけません。 もちろん繋ぐショットの選択肢もありますが、この場合オープンコートに同様にストレートを打たれる可能性があります。

ネットからの距離があまりない地点では、ボールのヒットポイントはバウンドの頂点で、スイングプレーンはより上向きの角度になります。 画像画像 画像画像

錦織が同様のショットを打ってる場面です。

ボールはサービスライン内側で高く弾んでいます、ネットが近いので低くは出せません。 ボールはバウンドの頂点で捉え、スイングプレーンはより上向きで、ヒットポイントでの面も角度を大きくしています。

プロには当たり前の技術ですが、上級者同士の試合でも打てるかどうかが勝敗を左右します。 正に必殺のショットです。

上級者レベルの試合では、サービスライン近辺の短めのボールはほとんど叩かれます。

※試合経験の少ない中級者以下には内容が理解しにくいでしょう、ブロック一点張りの振らないテニスには無縁のショットです。 スクールテニスに終始して思いつきで書かれてるブログを目にします、フラット云々やラケット面は垂直に、などと書いてる方には意味がわからないと思います。

※最近、僕の書いたものを明らかに剽窃したブログや記事を見かけます。 テニスの技術に関するらしいモノを書いてるようですが… 気分は良くないですね。