今、世の中情報にあふれ、様々なメデイアを通して大量に発信されているけど、疑問に思う内容や報道姿勢も多々あるし、流言飛語に惑わされる日本人の特性がそこに浮かび上がる。 裏にそれを利用しようとするモノの存在が見え隠れする事も・・・ まあ大上段から切るような大袈裟なものではなく気楽に書いてみます。

サーブの作法

こちらの動画を

ラオニッチ・ロボ!

  

今のところ「人」の最速サーブはグロスの263kmだそうです。

他にビッグサーバーとしては、イズナー、カルロビッチ、もちろんラオニッチがあげられますね。

皆、長身で手足が長い。

この手が長い事は、特に大きな意味を持ちます。

 

サーブがテニスの中で1番重要なショットである事は間違いありませんね。

サービスゲームを必ず取れれば、その試合に勝てるチャンスは格段に上がります。

事実、イズナーやカルロビッチのサービスゲームのキープ率は抜きん出てます。

無論、他のショットが駄目でも勝てると言う意味ではありません。

 

最近はシングルスをやる機会が多いのですが、かなりの上級者でも凄いサーブを打つ人は稀ですね、それどころかエッ!と思うくらい弱々しいサーブを打つ人もいます(笑)

マチュアレベルでは、試合全体におけるサーブのウェートはあまり大きくないのかもしれません。

弱いサーブであっても、相手が自分のポイントに繋げられなければ弱点にならないし、入れる事だけを念頭にしたサーブであればダブルフォルトで失点する危険性も少ないですから。

それに、弱いサーブでもコースをつけるコントロールがあればそこそこ武器になります。

 

ただ、サーブはとりあえず?入れるだけでも案外難しいモノです。

練習でもおざなりにされがちで、スクールでもちゃんと教えてくれません。これはサーブは教えるのが難しい事もあります。

書いてあるものや、動画を見ても身体の各部の動きが複雑で、なかなか思うように出来ませんね。

初心者もいつまでもサーブを覚えられないと試合が出来ないので、自己流の首を傾げたくなるような打ち方をしている人が多くいます。

変な癖のついたサーブを改善するのは、非常に難しいのです。

トスのタイミングひとつを変えても、フォームがバラバラになってしまいます。

 

さて、サーブは他のショットと違い、ある身体的条件が有利になります。

それは身長の高さ(打点の高さ)です。

最初の動画に出てくる装置の高さを見て下さい。

 

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270cmとあります。

これにはちゃんと根拠があるのです。

サービスライン上(ネットより64.0cm)からネット(中央部91.4cm)を通りエンドライン上(ネットより1,138.0cm)に線を引くと約260cmの高さになります。

もちろんネットは中央部が一番低くなっていますし、サーブもサービスライン上に打つ訳ではありませんから、多少アドヴァンテージを取らなければいけません、それが270cmの高さに設定してある理由でしょうね。

 

270cmと言うととんでもない高さに思われるでしょうが、身長180cm程度で「普通の手の長さ」であれば届きます。

ラケットの長さは27インチ(68.5cm)も?あります、ちゃんとグリップを握ってスィートスポットに当てるようにしても届きますね。

言い換えればこのくらいの身長がないと、「純粋な」フラットサーブは入らないと言う事になります。

自分は160cmだけどフラットサーブは入るぞ!という方もいるでしょう、これは「純粋な」がミソなのです。

「純粋な」とは打点から真っ直ぐな軌道で着地点まで飛ぶの意味です。

 

物体は必ず重力の影響を受けます、強く打ち出されたボールも例外ではないのです。

サーブを270cm以上の打点で打てない人は、やや上方へ打ち出し、そこから山なりの軌道でネットを越えてからサービスラインの内側へ着地させるようにしないと入りません。

160cmの人のサーブは、180cmの人のサーブより山なりの度合いが大きく、当然、スピードも落ちるのです。

トップスピンサーブであればもっと角度が急になりますが、ここでの論点はあくまでフラットサーブにします。

 

サーブは打ち下ろすのではなく、打ち上げるように打つとはよく言われます、背が低い人でもフラットサーブが入る理由です。

ただ、当然ながらより高い打点から打つ方が、より直線に近い軌道のサーブ(速度のある)を打てます。

もちろん高さの余裕があるのでフォルトの確率も減ります。

背が高い(高い打点で打てる)事はサーブを打つ事に関して断然有利なのです。

 

ではこちらを

 

 

フエデラーのサーブのスローです。

みんなが憧れる美しいフォームですね~

ただ1点を除いてですが・・・

 

フエデラーの身長は185cmです、最近の大型選手揃いの中では大きい方とは言えませんが決して小さくはないですね。

なぜこんなにジャンプする必要があるのか?

史上最高のテニスプレーヤーと言われている彼にして、より威力のあるサーブを打つ為に必要なのか?と思いますね。

一流のアスリートは垂直跳びで70cm位らしい、そこまでは飛んでないとしても、身長208cmのイズナーより打点が高い事になります。

もちろん同じくらいイズナーも飛べば別ですが・・・

 

サーブは高い打点から打つのも有利ですが、より前で打つのも有利です。

サーブのスローモーションを見ると、大抵は両足が自然に地面から浮き上がり、そしてやや前方へ着地しています。

これはサーブの動作に作用反作用の身体の動きが伴うからで、意識した動きではありません。

詳細に映像を見ると、フェデラーは打球後ほぼ真下に着地しているので、明らかに意識して真上に飛び上がっています。

理由は高い打点で打つ事なのは明らかです。

 

前の記事でも書きましたが、空中で打つショットは安定感を欠くし、地面で踏ん張る力も使えないので威力も有りません、意表をつく効果ぐらいはあるかもしれませんが、リスクを伴う無駄なショットです。

 

ただ、フェデラーほどの選手があえて行うのであれば、高い打点でサーブを打つメリットは、それにもまして有るという事なのでしょう。

フェデラーは飛び上がる事について合理的に考えてると見るべきですね。

 

ジョコビッチのサーブはどうでしょうか

 

 

斜め前方に飛び上がる意識が強いようです。斜め前方に飛び上がると、垂直方向より打点の高さが稼げませんし、軸が移動するのでボディターンもあまり活かせません。

ただ、よりネットに近い位置から打つ事になり、打点と着地点の距離を短く出来るので、サーブの速度UPと打点を低く出来ます。

両者の考えの違いが出てるのでしょう。

 

錦織のサーブ(練習時)

 

 

錦織はフォームをよく変えます。

ファアハンドもけっこう変わってます、身長が低い事もありサーブが弱点と言われ続けてましたが、二年程前から今のフォームにしていますね。

評判は良くないですね(笑)

理由は、肩と腕の角度が急すぎる(腕を上げすぎで顔のすぐ横を通っている)、肩に負担がかかり過ぎる、と言うものです。

確かに他の選手に比べるとそうなのですが、錦織がこのフォームにしている理由は、少しでも打点を高くしたいからです。

彼にしてみれば、30cm(イズナーとの身長差)の踏み台の上からサーブが出来ればどれだけ良いかと思ってるかもしれませんね(笑)

 

イズナーとラオニッチのサービス練習の動画です。

練習なのでリラックスしていますが、いとも簡単に入れてますね(笑)

ネットのかなり上をボールが通過しているのにも驚きです、身長が高いのはこんなにも有利なのですね。

 

 

先日、NHKの番組で興味深い分析をしていました。

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一般的なサーブスピードの計測は、初速(打ち出し直後)です。

この表を見るとバウンド後には半減して、ベースライン付近ではさらに減速しています。

球種やコート面で多少の差異はあるでしょうが、250kmのサーブもレシーブする時は、100kmちょっとの速度になると言う事です。

他のショットについても、バウンド後に伸びるように感じるのは錯覚なのでしょう。

人間の感覚による思い込みはあてにならないもので、このような科学的な解析による実証がもっとされるべきですね。

 

付記

イズナーとズベレフのデータです、300cm超の打点で打っています。

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