「強く打つ」はやみくもに、何でも強く→ハードショットするという事ではありません。
しいて言えば、強く打つ意識を持て!ですね。
テニスの試合では、失点の多くはミスによるものです、一般的なアマチュアだとその確率はもっと高いでしょうね、強く打つ事はミスに繋がると考える人は多いようです。
ひたすらデイフェンシブに徹して、ブロックショットばかりで、相手のミス待ちをするのも確かに戦法のひとつです。
強打する局面ではちゃんと打ってる!と言う人もいるでしょうが、レベルが高くなれば弱いボールなどめったに来ません。
シングルスではペースチェンジや駆け引きで、強弱が有効な場合もありますが、ダブルスでは弱いショットは格好の餌食になってしまいます。
試合にしても、互いのレベルが高い程、強打の応酬になりますねえ。
ならば初めから「強く打つ」事を学ぶべきです、つなぐショットや、コントロールショットは強いショットが打てるようになれば、自然と出来るようになるのです。
ジュニアの指導で実績を上げているスクールでも、そういう教え方をしていますね。
さて、テニスには曖昧な表現が多く、教えたり教えられたりする上で、理解するのがなかなか難しいのです。
また近年まで、ゴルフや野球と違って多角的な角度からの研究も少なかったようです。
最近は、高解像度のTVが普及して、試合中継でスーパースローのいろいろなシーンを見せてくれます。
それを見ると、スイングやショットについてのいい加減な解説や、初心者の思いつきなど、実際は無意味な事が良くわかりますね。
画像はジョコビッチのバックスイングの起点からフォワードスイング、そしてヒットポイントの瞬間までを捉えたものです。
前腕の筋肉の隆起を良く見て下さい、これを見れば脱力スイングなど絵空事であるのがわかります。
脱力スイングなどと言う発想は腕だけで振ってるから思いつくのであって、素振りでは良いかもしれませんが、回転のかかった強いボールは打ち返せませんね。
この前腕筋肉の隆起は、グリップを強く握りしめてるのではなく、ラケットを出来る限り手の甲側に「引っ張ってる」為です。
手首の形を直角に近い角度に保とうとしているのです、錦織やマレーにも同様に見られます。
尚、上腕の筋肉に力を入れる必要はありません。
グリップエンドが正面を向いてる時点で、既に前腕筋肉が隆起しています。
ラケットを握って試してみればわかりますが、この位置(フォワードスイングの起点)から、手の甲側への意識を持ったまま、腕だけでラケットを振るのは困難です。
フォワードスイングの起点は肩のロックポイントと一致します、この事からもボデイターンを充分に活用しているのがわかります。
では、なぜこのような筋肉の使い方とスイングをしているのでしょうか?
これこそが「強く打つ」為に必要だからです。
「強く打つ」は、ただスイングスピードを上げてボールを打つのではありません。
わかりやすく言えば、ヒットの瞬間にラケット面にボールを強く当てるようにするのです。
ラケットの面にボールを挟んで壁に押し当ててみてください、一番強くボールに圧力を加えられるのは手首がほぼ直角に曲がった状態である事がわかりますね。
飛んでくるボールの勢いは強くて、時にラケットが弾かれしまう事もあります、トップの選手の打球なら尚更でしょう、その為にもこの手首の状態は必要不可欠なのです。
パワーを無駄なくボールに伝える事が「強く打つ」には欠かせないのです。