今、世の中情報にあふれ、様々なメデイアを通して大量に発信されているけど、疑問に思う内容や報道姿勢も多々あるし、流言飛語に惑わされる日本人の特性がそこに浮かび上がる。 裏にそれを利用しようとするモノの存在が見え隠れする事も・・・ まあ大上段から切るような大袈裟なものではなく気楽に書いてみます。

ナダル究極のフォアハンド

画像

このテーマについては何度か取り上げています。

http://scrooge.at.webry.info/201310/article_1.html

http://scrooge.at.webry.info/201405/article_2.html

ナダルのファアハンドは、その特異性において唯一無二ではないかと思ってます。

誰も真似をしないし、また出来ないでしょうね。

その圧倒的なトップスピンの回転量から、再開当初に解析したのですが・・・

秘密は筋肉だとか、バギーホイップとか書いてるのがあります。

バギーホイップって?

と思ったら、これはコミックの中でのネーミングなんですねえ(笑)

秘密でも何でも無く、単純明快に言えば手首のスナップを使う打ち方です。

前の記事を読んでもらえばわかりますが、ナダルのファアハンドは、ただひたすらスイングスピードを上げる為にこの打ち方をしているのです、スイングスピードとスピン量の相関は科学的データの裏付けはありませんが、多くの人が実感として感じている事です。

ナダルは、ほとんどのボールを同じテンポで、しかもハードショットで打ち返します。

単調な戦法に思えますが、フォアハンドのミスは、強弱や緩急、球種の変化で、打つタイミングを狂わせられて起こる場合がほとんどなのです。

守備攻撃の両面で、スピードの変化、回転の有無に関係なく、自分のタイミングで打てるトップスピンは有利なのです。

では、手首のスナップを使うとはどういう打ち方なのか?

ラケットで球つきをしてみてください。

ラケット面を上に向けて、グリップは手の甲が下側になります、要領がわかると何回でも出来ますよね。

大概の人は手首をまっすぐに固定して、腕全体を上下させるようにするはずです。

安定して続ける為には無難な方法です。

では、その要領で今度は手首を使って下さい、腕の上下の動きは変わらないのに、ボールは高く飛ばせるようになります。

腕の動きと手首の動きがシンクロし、その相乗効果でラケットヘッドを大きく早く動かせるからです。

その代わり、ボールの弾む方向が安定せず、続けるのは格段に難しくなります。

では、出来るだけ高く飛ばす事が命題とすればどうしますか?

この場合、高く飛ばすのはスイングスピードを上げる事とイコールになります。

ひとつには、腕の上下の動きを大きくする事がありますね。

上下に大きく平行に動かしても、ラケット面は動きに対して安定していますが、このように腕を大きく上下させるには身体の構造上限界があり、また、さほど早く動かせるものではありません。

これは、腕を横に振る動きでも同じです、つまりテニスのフォアハンドにも言えることです。

このように考えると、手首を使う事は、スイングスピードを上げる手段として有効と言う事になります。

ナダルはこれをフォアハンドで実践しているのです。

スナップショット自体は、ハイボールを打つ時や、ワイドに振られた時にアングルショットや、コミックのようにポール回しを狙う時に使いますが、難しく確率も低いので攻撃的に使うショットではありませんね。

テニスの世界では、トップの選手の技術やフォームはすぐ参考にされます。

自分のプレーにプラスになるのなら、何でも取り入れようという姿勢からです。

しかし、この打ち方をしている選手は皆無ですね、シャラポアを例に上げる人がいますが、同じとは言い難いですね。(最後に彼女の動画を付けておきます)

手首を使うショットは、安定して打つ事が非常に難しいのです。

手首を返すタイミングとヒットポイントが合わないと、ボールにパワーが伝わらないし、方向のコントロールも出来ないからです。

ほとんどのプレーヤーはヒットポイントに向かう前から、手首を手の甲側に折り曲げています。

なるべくそのままの形をヒットポイントまで維持しようとします。

これは、ヒットポイントで手首が打球の勢いに押されないようにする為と、パワーをロスする事なくボールに伝える為です。

ジョコビッチにしろ錦織にしろ、ヒットポイントでの手首の形は皆同じです。

このあたりの事はこの記事を参考にして下さい。

http://scrooge.at.webry.info/201512/article_1.html

驚くことにテニス雑誌や、スクールでもあまり教えていないようです。

手首を固定するレッスン用の器具まであると言うのに・・・

さらには手首を故障するリスクが大きい。

手首を固定しないで打つと、打球時の衝撃が直接手首にきますし、スナップさせる時にラケットの重さが手首にかかります。

※全仏でナダルは棄権をしました。腱鞘炎とのことですが、左手首だけに心配されます。

画像

もうひとつ、ナダルのフォアハンドの特徴にストレートアームがあげられます。

上位のプレーヤーにはほとんどいませんが、フェデラーもストレートアームです。

ナダルフェデラーは他にも共通点があります、二人共に史上最高と言われるテニスプレーヤーだけにとても興味深い事です。

この事についての記事はこちらです。

http://scrooge.at.webry.info/201405/article_1.html

メリットとしてはボールとの距離がつかみやすい事、スイングの回転半径が大きくなる事(必ずしもメリットとは言えませんが、スイングスピードは上がります)、ナダルは、ヒットポイントで手首を伸ばしているので、より半径が大きくなります。

また、ナダルの画像を見ると、スイングのトップ(バックスイングで一番後ろに引いた位置)とフイニッシュが常に一定です。

画像

画像

画像

画像

ゴルフの一流プレーヤーがドライバーショットを打つ時は、トップとフイニッシュは常に一定です。

最もボールを遠くに飛ばす必要のあるゴルフのドライバーショットと、ナダルのフォアハンドのスイングが似ているのは興味深いですね。

ナダルは、飛んでくるすべてのボールを、その高低や強弱、速度、回転に、関わらず同じスイングとテンポで、そしてそうする為に必然としてトップスピンで打つ事を目指しているのです。

ある意味、究極のフォアハンドと言えるかもしれません。

こちらの動画は、ナダルのフォアハンドを後ろ側から見たものです。

肩を支点とし真っ直ぐ伸びた腕が、前方に移動していき、トップの位置ではロックされていた手首が、ヒットポイントに向けて徐々に伸びていく様子が良くわかります。