前ブログではラケットの事を書きましたが、ラケットは、ストリングスが張ってあってのモノですよね。
ただ一緒にすると、見えてこないモノがあるのです。
新しいラケットの使い始めは、なかなか手に馴染まないものです。
その場合、当然ですがストリングスも新しく張ったものでしょう。
最近、Steam105Sを追加で購入しました。
使用頻度が高いのと、モデルチェンジの可能性があるので。
海外からの並行輸入品なのですが、ストリングスは張り上げ済みでした。
調べてみると、Wilson社の既に廃番となってるポリエステルストリングスで、55ポンドで2本張りになってました。
まあ、無料なので良いかなあぐらいの気持ちで、すぐ張り替えるつもりでしたね。
ところが、使ってみて驚きました、実にしっくりくるのですよ!
この表現は曖昧ですが、長くやられてる方ならわかるでしょう、方向も飛びもバラつかず、意図した通りに打てます。
一方で少し前に張り替えたもう一本のラケットは、張った直後からボールの飛びが落ち着かず、ショットが安定しません。
本来、張替え直後はストリングスが1番良い状態のはずですが・・・
これはどういう事なのか?
特に高級品でもなく、おそらく張り上げてからかなり時間も立ってるのに。
最初は、ラケットの個体差を疑いましたが重量はまったく同じで、スイングウェイトも同じ感覚です。
このラケットでは、何度かストリングスの種類や張り圧を変えてるので、単なるストリングス変更による違いではないのは確かです。
実は、ストリングスを張る仕事(ストリンキング)を専業にする人(ストリンガー)は、非常に少なく大抵はスポーツショップや、専門店の店員さんが行っています。
特に必要な専門資格がある訳ではないのです、僕自身も張った事があるぐらい(笑)
僕も大手のスポーツショップでストリングスの購入をして、そこで頼んでました。
冒頭の画像を良く見て下さい。
角度は、真上からです。レンズが球形の為の見え方を考慮しても、違いがわかるでしょう。
重ねてある下のほうが今回購入したラケットです。
横になってる画像ではラケットの上の右側、縦の画像では右側下の部分がゆがんでます。
縦の長さも若干違います。
1本づつ見ただけでは、恐らくわからないでしょうねえ~
こういうショップでは、同時に同じラケットを数本頼まれるのを、とても嫌がるそうです。
同じ仕上がりに出来ないから(笑)
ラケットの変形だけでなく、テンションの緩み、ばらつきも出ているのでしょうね。
メインの隣り合わせのストリングスのテンションが、ほんの少し違っていたら、ボールの回転や方向に大きな影響が出るのは容易に想像出来ます。
圧をかけて、長いストリングスを交互に張るのだから自然と平均化するのでは?
と思われるかもしれませんが、そうではありません。
テニスシューズのひもを最後の部分だけ、いくら強く引っ張っても先の方は締まりません、それと同じです。
メインとクロスの張力のバランスも、ラケットヘッドの部分的な強度の差を見ながら調整するそうです、ちゃんと張るには、高度な技術が要求されるのですよ。
ひるがえって考えるに、この購入したラケットのストリンキングの精度が高い(普通?)事になりますね。
いろいろ調べると、こういう工場出荷張り上げのラケットは、米国認定協会(USRSA)の資格者が張ってるのではないか?と言う事でした。
まあ、製造は中国ですが一旦、米国本土に送られるているのかもしれません。
さすがに、選手が専従のストリンガーを雇っている話は、聞いた事がありませんが、グランドスラム大会では、大会側が選定したストリンガーを会期中ずっと待機させて、選手のラケットのストリンキングを随時おこなっています。
これに選ばれる事は大変な名誉で、日本人では数名しかいません。
はからずも、ストリングスとストリンキングが、いかに重要か良くわかりました。