もちろん、テニスをする上で1番大事な道具でしょうね。
それだけに選ぶのは難しいのです。
実はラケット(フレーム)自体にはそんなに差(性能)がある訳ではないのですよ、素材はカーボングラファイトですし、形状も似てますよね。
仮に他に比べて、素晴らしいラケットがあったなら、選手は先を争って使うはずです。
では、何を基準に選ぶか?まずは重さでしょう。
ラケットの重量は何を指して言うのか?
実は、ここに落とし穴があります。
店頭で素のラケットを手にとって、素振りをしてもほとんど参考にはなりません。
ひとつにはストリングが張られてません、一般的なストリングスで約15gあります、グリップテープで5gくらい。
ラケット自体の個体差は±5gもあります。
それはどんなラケットを買っても同じでは?
と思われるかもしれませんが、人の重さを感じる感覚は、案外鈍感なのですよ。
10gの差を感じ取れる人はほとんどいませんね。
これはスイングウェイトを測る機械です。
スイングウェイトの説明は難しいのですが、振った感じ?を数値化したモノといったところでしょうか。
人の手は重さを感じるのには鈍感なのですが、長さのあるものを水平に動かした時の感覚には敏感です。
プレー中に振動止めが外れた時は大抵の人はわかります、振動止めはわずか1g前後の物ですよ。
これは、重さの差を感じる以外の感覚が働いているのでしょう。
おそらく、手のひらを通して伝わって来るのだと思いますね、人の手のひらの感覚はとても鋭敏でどんなセンサーも敵わないそうですから。
もうひとつ、バランスポイントがあります。
ラケットヘッドからグリップエンドの間の、どこで重さの均衡がとれるかを表しています。
最近の傾向として各社共バランスポイントは、ほぼ同じ位置に設定してますね。
ややこしい事にラケットの総重量、スイングウェイト、バランスポイントに相関関係はありません。
30gの重量差があってもスイングウェイトが同じラケットがあります。
つまり、振った感じとラケットの重量は関係がないのです。
この言ってみればフィーリングがラケットを選ぶ上で大事なのです。
最近、カーボングラファイトの組成を工夫してより強度を増し、その分軽量化したラケットが登場してきています。
以前の軽量ラケットは、強度維持のため全体を均一に軽くするので、どうしてもグリップ部分にウェートがかたよるのでトップライトになってしまってましたが、強度が上がった事により、重量配分を変えたバランスが良いラケットを作れるようになりました。
同じ長さの木の棒と鉄の棒では、どちらが早く振れますか?
軽量ラケットは、スイングスピードを上げるのにとても有利なのです。
ただ軽量ラケットは、初心者や女性向けとされていますが、しっかり振っていける人じゃないと、そのメリットを生かせません。
まだフォームが固まってない人や、面にボールを載せる人、相手の力を利用して合わせる打ち方の人には、かえってマイナスになりかねないのです。
慣性重量が軽くなる為、ラケットを強く振っていけない非力な人には、不利になるのです。
ラケットの重さを乗せるサーブや、静止重量があるほうが優位なボレーは、やりにくくなってしまいますね。
反面、ストローク主体のベースラインプレーヤーには有用です、ナダルが300g、フェデラーは340gのラケットを使うのはそのプレースタイルから当然なのです。
ちなみにジョコビッチは315g、中間の重さなのは興味深いですねえ~
※ストリングス別の重量
最初の画像は、昨年のウインブルドンのジョコビッチのラケットです、LEAD(鉛)テープで調整しています。
これは、サーブ&ボレーに有利な、ウィンブルドンの芝コートに合わせた調整なのでしょう。
これは、米国のサイトからのスペック表です。
テニス再開前のメインに使用してた、プリンスグラファイトと現在使ってるウィルソン105Sとの比較です。
重量が34gも違いますが、他の項目はほとんど同じです、1番の目安であるスイングウェイトも同じなのです。
※ストリングス込の重量
しかし、この2つのラケットの「性格」は違います。
確かに振り始めの感覚は同じですが、ヒットポイントの手前あたりからはっきりと変わります。
それは「しなり」です。
これは硬さとは違います、サイトでもStiffnessの数値はあまり違いません、いわば数値化が出来ない感触ですね。
最近は、その点にポイントをおいて開発をしてるメーカーもありますね。
さて、ここまではあくまでラケット本体の話です。
諸々のラケットのインプレッションを見ると、ボールが伸びるとか、スピンがかかるとか書いてあります。
実はあまり参考にならないのですよ、ラケットとストリングスの組み合わせは無数にあります、そこに打つ人の技量、感覚、感性、などいろんなものが入りますから。
あくまで自分の感覚で選んで、そして使い込む事でしょうね。