Headは各シリーズにRev Pro(レフプロ)のネーミングのラケットを投入しています。
RevはRevolutionの略だそうです。
今年の1月にグラフィン XT ラジカル レフ プロを発売して、全シリーズにラインナップされました。
現在、プレステージ、ラジカル、スピード、インスティンクト、エクストリームのシリーズがあります。
それぞれに4~5種類のネーミングのラケットがあり、特徴は多岐に富んでますね。
元々、ラインナップが多いところにASP(可変ストリングスシステム)も付け加えて選択枝が豊富になってます。
ただ、個々のシリースの中でRev Proの位置づけは曖昧です。
ジョコビッチの使用ラケットはスピードプロですが、スピードレフプロは重量は軽いのですが全長が長く、面が小さい。
スイングウェイトは316(スイングウェイトは全長が違うと数値比較はできません)、試打した事がありますが、なぜこのような仕様にしてあるのかちょっと理解に苦しみました(笑)
※スイングウェイトについてはこちらを
http://scrooge.at.webry.info/201503/article_1.html
ジョコビッチの意向が入ってるのかどうかわかりませんが、このスピードシリーズはスイングスピードを上げやすい、もしくは上げたい人向きなのかもしれません、スピードプロでバランスが31㎝、スイングウェイト323ですがジョコビッチはウェイトテープでスイングウエイトを調整しています。
実は、スピードレフプロとインスティンクトレフプロは同時に発売されました。
インスティンクトレフプロは255gでスイングウェイトは305。
この時点ではレフプロは、スペック的に初心者を意識したものだったのではないでしょうか。
プレステージレフプロに関しては、面が93cmというもので、一般的なアマチュアの手におえるものではありません。
チリッチの使用ラケットで、彼はキャップグロメット(ラケットヘッドの外側を覆うように装着する、通常のグロメットより重量がある)でスイングウェイトをさらに上げているようです。
ちなみにインスティンクトMPは、ベルディヒとシャラポアが使っていますが、スイングウェイト310のラケットを、あの巨体のベルディヒがそのまま使ってるとは思えませんでした。
やはりというか、全豪OPでは半透明のキャップグロメットを付けてました、そうなると、なぜジョコビッチがウェイトテープに固執するのかわかりませんね、スイングウェイトを上げる目的ならば、キャップグロメットの方が見栄えも良いし、メーカーとしてもそうしてもらいたいと思うでしょう。
おそらく、ウェイトテープによる調整のほうがより良い結果が得られるのでしょう。
ところで、プロスペックなる特別仕様のラケットがあるそうですが、世界NO1のジョコビッチに与えてはくれないのでしょうかね(笑)
Wilson社から自分仕様のラケットを作ってもらってる錦織ですが、錦織が使ってると言うだけで売れる日本市場の特性があるからでしょうね。
さて、エクストリームレフプロですがエクストリームシリーズには、いままでレフプロの設定はなく去年の7月に初めて発売されました。
スペックは270gでバランス34cm、スイングウェイトは海外サイトにも出ていません。
ガスケ使用モデルのエクストリームプロは、315g、32cm、スイングウェイトは325となっています。
バランスが大きい(重心がヘッド寄り)だと、スイングウェイトは大きくなる傾向があります。
スイングウェイトの比較は厳密には重量も同じじゃないと難しい、重量が軽いとヘッドに少量のウェイトを付加しても振ると重く感じるからです。
同じラケットでも10~20程度のバラつきがあるようです。
その事を加味して、エクストリームプロのスイングウェイトから推察すると(試打した事がありますが、明らかにレフプロの方が大きい)、20ポイント位大きいのではないでしょうか?
340~350位?
ヘッドの中で1番スイングウェイトが大きいのは、プレステージプロの331です、他社でもウイルソンのプロスタップRF97オートグラフが335、このラケットはフェデラー専用ラケットと言って良く、重量も340g!とヘビーなものです。
ここで、スイングウェイトについて考えてみます。
例えば、飛んでくるモノを強く打ち返す為には、重量があるモノ(重いほど良い)を、勢い良くかつ強く当てれば良いのはわかりますよね?
では、飛んで来るモノをテニスボールに置き換え、当てるのはラケットとすると、重量は重い程よい事になります、この場合素材による反発力の差は無視します。
さて、ラケット重量は重いほど良いのですが、人間が持って振り回すのにはおのずと限界がありますし、個人差もあります。
誰もが、フェデラーのように340gのラケットを振り回すことは出来ません。
どこかで、自分が振れる限界の重量と折り合いを付けないといけないのです。
次に金槌をイメージして下さい。
通常、頭を上にして使います、では逆さまに頭の部分を握って柄の部分を上にしたらどうでしょうか?
手で持つ重量は変わらないのに早く振れますよね?
ただし、釘を打つには役に立ちません(笑)
ラケットに置き換えると、重量が同じでグリップ寄りのバランスのラケットと、ヘッド寄りのバランスのラケットと考える事が出来ます。
後者のほうがスイングウェイトが大きいラケットです。
強く効率よく釘を打つには、金槌の頭の部分を使わないといけません。つまり、ボールを強く打つにはスイングウエイトが大きい方が良く、かつ早く振れるほうが良いのです。
このことから導き出される答えは、最良のラケットは軽くてスイングウェイトが大きいラケット!と言う事になります。
※ラケットの重量については、その重量が軽く感じるかどうかは個人差があります。またその重量とスイングウェイトの値は関連性があります、最新のラジカルレフプロが、エクストリームレフプロと同じ270gに設定されているのは、それに対するHead社の答えなのかもしれませんね。
実は、この発想を形にしたのはHead社が最初ではありません、Wilson社が90年代に「ハンマー・テクノロジー」の名前で一連のラケットを発売しています。
全長が長く、バランスがかなりヘッド寄りのトップヘビーのもので、数年前まで販売していましたが、今はWilson社は同様のラケットを作っていません。
推測ですが、おそらくトップヘビーにするために、単にラケットヘッド部分を重くしていただけだったのでは?
Head社は、2015年シーズンからグラフィンXTという素材構造を全モデルに採用しています。
新素材というようなものではなく、新しい構造設計にして、重量を20%軽く強度を30%アップさせたそうです。
この事によって、シャフト部分のウェイトをヘッドとグリップ部分にウェイトの再配分をしたそうです。
テニスラケットのシャフト部分は、極端に言えばいくら細くても強度さえあれば問題ないのです、バドミントンのラケットのような形状であっても良いのです。
単にスインウェイトを大きくする為だけなら、ヘッド部分だけを重くするか、グリップ部分を軽くするかすれば出来ますが、強度の観点からなかなか出来ませんでした。
ヘッドだけを重くするとネックの部分に負担がかかります、またグリップは振動吸収材や一定の重量が必要なのでむやみには軽く出来ません。
素材構造を変えることで強度アップと軽量化の両方を実現したのでしょう。
実は、RevのあとのProは、シリーズの中のトップモデルProを意識したネーミングで、Proの軽量版?と思ってましたがまったく違うラケットです。
軽量ですが初心者には向いていませんし、大きく振り回すスイングには合いません。
Head社はRev Proを 先行で出したスピードレフプロとインスティンクトレフプロが、エクストリームレフプロとはまったく違うラケットである事からも分かるように、一定の設計思想で作るのではなく、革新的で実験的な構造理論を応用するラケットと考えているのではないでしょうか?
いわばプロトタイプですね。
エクストリームレフプロを使って1ヶ月程ですが、ピュアドライブ260(ウェイトを付加してスイングウェイトを大きくしてあります)と同じ打ち方をしてたら肩が痛くなりました。
今は、スイング改造中でありラージスィングとスモールスイングの中間ぐらいで振っています。
※http://scrooge.at.webry.info/201511/article_1.html
エクストリームレプロはラージスイングには向いていないのでしょう、しっかりボデイターンを有効活用しないと肩に負担がかかるようです。
反面、振り回せない事が、ボールを潰して打つ(厚く当てる)必要を意識させてくれます。
※エクストリーム レフプロについてはこちらにも書きました。