今、世の中情報にあふれ、様々なメデイアを通して大量に発信されているけど、疑問に思う内容や報道姿勢も多々あるし、流言飛語に惑わされる日本人の特性がそこに浮かび上がる。 裏にそれを利用しようとするモノの存在が見え隠れする事も・・・ まあ大上段から切るような大袈裟なものではなく気楽に書いてみます。

Ⅲ「トップスピンをかける」

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テニス雑誌の広告写真です(笑)

日本のランキングプレーヤーですが、スーパースローの一瞬ではありません

おそらく、ヒットの瞬間をイメージしてとカメラマンに言われたのかもしれません、彼は期せずして、自然にそのポーズがとれたのでしょう。

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フエデラーとツォンガのヒットの瞬間です。

共通点がわかりますか?

さて、トップスピンの原理ですが、これは物理学的に説明のつくものでなければいけません

なんとなく、下からラケットを振り上げれば…とか、擦るようにすればかかるとか、そんな曖昧なものではないはずですよね?

僕もいろいろ調べましたが、明確に説明出来ているものには、ついぞお目にかかれませんでした。

実験データらしきものはあるのですが、実証としては不完全なものでした。

では、プレーヤーは知っているのでしょうか?

世界ナンバーワンのジョコビッチは?錦織は?

おそらくNOでしょうね~

彼らはトップスピンの原理や、その基となる物理学を知らなくても、自分のスイングで最も効率的にトップスピンをかける方法を知っているのです。

他のスポーツ、野球のバッテイングやゴルフはプレーヤー人口が多いせいもあるのでしょうが、いろいろな角度からの研究解析が進んでいます。

それによって、論理的なコーチングや、テクニカルな指導が確立していると言えます。

しかしながらテニスにおいては、最近ようやく進み始めたと言っていいかも。

Wilson社がトップスピンがよりかかると言う理論?「スナップバック」を取り入れたラケットを2014年から発売し始めました。

クロスの本数を減らす事によって、メインとのストリング同士の摩擦を減らし、ズレを大きくすると言うのがこの理論の要旨ですが…

疑問の点も多々あります、これについては以前に書きましたので参考にして下さい。

http://scrooge.at.webry.info/201408/article_1.html

このWilson社のラケットについては、一応理論らしきものを背景にしていて、それまでの「よりスピンがかかるラケット!発売!」的なモノとは一線を画するものでした、ただおかげでトップスピンは、スナップバックでかかると思い込んだ人も多いと思います。

前に書いた事と重複するので、詳しくは書きませんが、ラケット(ラケット面)でトップスピン(順回転)をかけるには要素が2つあるのでは?と考えています。

ただし、ラケットの強度と柔軟性、及びストリングスの種類とテンション、スイングスピードが及ぼす影響については膨大な実証が必要になるので、仮としてこれらの条件は一定のものとして考えます。

さて、最初の3枚の画像についてですが、共通点はラケット面と手首関節の角度です。

トッププレヤーに限らず一流選手ならば、フォアハンドストロークでトップスピンをかけようとすると、ヒットポイントでは同じ角度になるはずです。

逆に言えば、これがトップスピンがかる物理的な原理の証明なのです。

スナップバックは、ストリングスの歪み(ボールの勢いとラケットの相反する動きが衝突する事で押し広げられる)が元に戻ろうとする事がトップスピン(順回転)をかけるというものですが、ちょっと考えればわかりますが、それだけでは説明が不十分です。

例えばフラット打法でもスナップバックは起こってるはずなのです、その答えとなるのが3枚の画像のラケット面の角度です、この角度はほぼ共通してます。

ラケット面に角度を付けてボールに当てる事によって、ストリングスの戻る動きに時間差をつけ、回転を生み出しているのです。

もうひとつは、手首の角度です。

これは、前に書いたⅡ「強く打つ」と共通する事です。

ボールとラケット(あえてラケット面とします)の両方向からの相反する動きが衝突します。

スナップバックの性格上、ふたつが強く当たるほど、ストリングスのズレはより大きくなります。

※ただしWilson社の説明ではズレの大きさと、トップスピンの回転量の相関については述べられていません、ズレたストリングスの戻りの強さや勢いも関係してると思われます。

その為にラケットを出来るだけ強くボールにぶつけるには、手首を強く固定して、緩衝によるロスを減らす事が大事なのです。

いわゆるボールを潰す感覚で打つ事です。

この感覚は曖昧だし、ミリセカンドの世界ですが、ボールをぐっと押し出す感触があります。

※トップスピンの為だけではなく、ボールコントロール、スピード加味などに非常に有用です。

もうひとつ付け加えれば、この時のスイング方向はやや上方に向いています。

この事は前記事でも触れていますが、ラケット面をストリングスで構成された一種の平面として、その摩擦(もしくはボール接触時に下方のストリングに引っ掛ける?)によりボールに回転をかける動きが伴っているのではと考えられます。

また、スイングスピードも関わっているのではと推測します。

※スイングスピードと上方への方向角度、またその都度のラケット面の角度が、スピン量にどう関わるかは、まだ検証の余地があります。

※僕の知る限り、トップスピンについて解析した唯一の科学的な論文です。

ただ実験の設定については、、もっと他の角度からも必要でしょう。

http://ci.nii.ac.jp/els/110007817384.pdf?id=ART0009534132&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1452327504&cp=