今、世の中情報にあふれ、様々なメデイアを通して大量に発信されているけど、疑問に思う内容や報道姿勢も多々あるし、流言飛語に惑わされる日本人の特性がそこに浮かび上がる。 裏にそれを利用しようとするモノの存在が見え隠れする事も・・・ まあ大上段から切るような大袈裟なものではなく気楽に書いてみます。

備忘録 「OPPO-83SE  デジタルの奔流に抗うシリコンバレーの黒船」

 

日本語ではユーモラスな名前なのだが、基本的には国内販売はしていないので知名度は低いね。
この機種の電源部をブラッシュアップしたものが少量だけど販売されていたみたい。
BD、DVD、SACD、CDを再生出来る米国製ユニバーサルプレーヤー。

OPPO社はシリコンバレーにある新興メーカーで、今のところはユニバーサルプレーヤーのみ生産しています。
米国では日本では聞き慣れないオーディオメーカーがかなりあるけど、音にも個性を選ぶ気質がそうさせるのかもしれませんね。

また部品製造の専業化も進んでいて、米国製チップは日本メーカーのほとんどが組み入れている。
この機種は他の米国オーディメーカー同様、駆動部や読み取りレンズは日本製を使用していて、DACは米国製の別の会社のもの。
得意分野はそれぞれ専業メーカーに任せるってことかも?
自社開発にこだわってきたSONYもDACは他社製品を使ってるからね。
その意味では今や米国製、日本製の区別はないでしょうね。

DAC(デジタル/アナログ変換回路)は特に重要なパーツで、音・音質に大きな影響を与えます。
音作りの大部分を成すと言っても良いでしょう、それほど重要なのですよ。
実はもうひとつ重要なチップにマスタークロックがありますが、これは別の機会に・・・

CD・SACDあるいはDVD・BDも、記録されている情報はすべてデジタルデータであり、音に関して言えばデジタルスピーカーと言われるものが存在しない以上、デジタル信号は必ずアナログ信号に変換する必要があります。
旧態依然とした昔のアナログアンプが未だにCDなどのデジタルの音を出せるのは、プレーヤーに内蔵されているDACのおかげなのですよ。

OPPO-83SEはSPECIAL EDITIONと銘打ってあるように、OPPO-83とは外観が同じだけどDACをより高品質なものに変えてある。
今どきのデジタル奔流にあって、アナログの音にこだわった音作りをした機種と言う事になりますね。
ただし、これには逆転の発想があっての事なのですよ。

実はオーデイオ(ビジュアルも含む)機器にはジッター(時間的揺らぎ)という問題があり、音に悪影響を及ぼします。
特に精度を要求されるデジタル機器に影響が大きい事がわかってきて、各メーカがその軽減に取り組んでる。
実はHDMIのデジタル伝送にもジッター発生要因があり、データ転送スピードのメリットばかりではない事がわかっているのです。

もうひとつのアナログにこだわった理由として、HDMIに限らず同軸・光ケーブルでのデジタル接続では、デジタル→アナログ変換は接続先のDACで行われます。

つまりいくら高品質なDACを内蔵したプレーヤーでも、安価なアンプとデジタル接続をするとアンプ側のDACで変換される事になり、プレーヤーの高品質DACは宝の持ち腐れになってしまうのですよ。

そう考えていくと、このSPECIAL EDTIONが制作された背景には、いっそのことアナログ接続に活路を見出そうとした設計者の意欲が感じられますね。
アナログ2CH専用出力を持ち、7.1CH用にも高性能なDACを奢っており、2CH出力時には半分づつ充てる凝った仕組みになっているのがその証。
CDの2CHステレオ音声だけでなく、SACD・DVD・BDのマルチサラウンドも、自分たちの意図した音をリスナーに届けたいとの設計者の願いなのでしょう。

OPPO-83SEのアナログの音は、深く響きが綺麗で音のひとつひとつに奥行きがある、デジタルの正確かつ明瞭に定位する音とは違った行き方。
料理に例えれば食材を焼いて食べるのか、はたまた煮て食べるのかの違い。
どちらが美味しいかというものではなく、そも比較する事がナンセンスなのかも?

OPPO-83SEはこれ1台でどちらもハイレベルで味わえる、類い希なプレーヤーと言えます。

※既に83SEはOPPO社のラインナップから消えています。
  次期モデルの93は方向性が異なるモデルとなってるようです。

 

注 これを書いたのは2010年です。当時はこのブランドはあまり知られておらず、正式な日本代理店も存在しなかった。

正確には中国資本で、他メーカーのパーツを組み上げて製品化したものでしたが、ESS社のDACを初めて採用したユニバーサルプレーヤーで、一部で高い評価を受けていました。

現在はこの分野から撤退しており、最終製品はオークション等で高騰しています。