今、世の中情報にあふれ、様々なメデイアを通して大量に発信されているけど、疑問に思う内容や報道姿勢も多々あるし、流言飛語に惑わされる日本人の特性がそこに浮かび上がる。 裏にそれを利用しようとするモノの存在が見え隠れする事も・・・ まあ大上段から切るような大袈裟なものではなく気楽に書いてみます。

備忘録 「SU-XR700 醜いアヒルの子が奏でる白鳥の詩」

ここにブログを引っ越してほぼ10年、当初は他の場所にも同じ記事を書いてきましたがいつの間にかこちらだけに。

ここはテニスに限定してたけど、 前のところではいろいろ書いてました。

そこは来年で終了になるので、そういう記事もこちらに載せる事にしました。

2008年からなのでいささか古いですが

 

 

最近あるアンプを手に入れた。

Panasonic SU-XR700 

2006年発売で、2009年には生産終了になっている。
約10年のオーディオ歴空白期間中の事なのでこのアンプの存在は知らなかった。
日がなオーディオ関連のブログを巡っていて、このアンプについて書かれてるブログが目に触れた。

大抵のこの手のブログは、自分のシステム自慢でいわゆるハイエンドの機器の話が多い。
数百万のアンプやスピーカー!
そりゃさぞかし良い音がするでしょう(笑)
自分専用のリスニングルームを持ってて、他の話題を見ても、いったい仕事は何をしてるのか?という人ばかり。
書くスタイルも様々で求道者然としたり、単なる道楽・趣味などあり、ただこの道は専門知識も少しは必要でそういう方が書いてる内容は参考になる。
そういう人が、巡り巡ってやっとこのアンプに辿り着いたと褒めてるのが気になっていた。

10年の空白と言ったが、この世界はほぼ30年近く変わらないのではと思う。
1982年のCD発売以来でしょうね。

簡単に言うと、音源(CD・SACD、etc)を増幅(アンプ)して拡声(スピーカー)、の流れである事は少しも変化していない。

ただここへ来て、音源はデジタルデータそのものを使う傾向にある、CD・SACDに入っているのはもちろんデジタルデータであるから、PCのハードディスクやメモリーに保存すれば扱いやすいし、プレーヤーを介して取り出さずにすむメリットもあるしね。
背景にはインターネットの広がりとPCの能力の向上があるのかな。
今はネットでのデジタルデータの配信が始まっているし、デジタルミュージックサーバーと言うべき機器も存在する。
それが時代の趨勢だとしたら、アンプもデジタルへの道をたどるのが当然の帰結ではあるまいか~

さて、XR700の話。

これはフルデジタルアンプです。
実はフルデジタルアンプとして、現状販売されているものは少なくて、SONYONKYOに数機種と、あとはガレージメーカーのようなところで細々と出している。

オーディオの世界は保守的で、革新的な製品は受け入れられない事がままある。
またメーカーの方針転換だったり、コストがかかり過ぎる、オーディオ部門そのものからの撤退など、製造中止や開発中止には様々な理由があるでしょうね。

このアンプのコンセプトは、ホームシアターの中核を狙ったものであるのは間違いない。
事実、このアンプと5.1CHのスピーカーとを組んだセットも販売してた。
このアンプはAV(オーディオヴィジュアル)アンプのカテゴリーになるのですよ。

だからなのか前面はプラスチックだし、つまみ類もそう、シャーシは薄くて背面の端子類もチープ。
高級オーディオのイメージからは程遠い。
だからといって発売当初は10万くらいだから安くはない。

最初のフルデジタルアンプは、やはりというかSONYが1977年に発売した。
PanasonicとSONYが強烈なライバル関係にあるのは周知の事実、技術のSONY営業の松下(Panasonic)などど言われたりもした。

Technics(テクニクス)と言うブランドをご存じでしょうか?
アナログプレーヤーで一世を風靡した、松下のオーディオ専門の高級ブランドです。
XR700の前に付くSUは実はTechnics専用の型番で、しかもSU-XR700が知る限りでは最後の製品なのだ!

僕はこのXR700が、SONYと色んなジャンルでつばぜりあいを繰り広げたPanasonicが、オーディオ界に突きつけた最後っ屁のような気がしてならない。

恐らく社内的にもXR700を出す事に、議論があったのではないのかなと思う。
ホームオーディオの仮面を付けつつ、ピュアオーディオ用アンプにも、めったにないようなマニアックな機能を付けてたりしている。
してやったりの技術者の顔がそこに見える。

フルデジタルアンプにありがちな、透明感はあるけれど、全体の力強さに欠けるところはまったく感じさせない。
低能率の鳴らしにくい、海外スピーカーも軽々とドライブする。
音源の優劣が明確に露呈してしまう程、素晴らしい解像度を持ってる。

ウッドベースが鳴る直前の弦に指が触れる音、ハーンのグルネリがほんの少しだけ動く音・・・
この眼前に広がる音の粒子の細かさはどうだ・・・
ヴィレッジ・バンガードやコンセルトヘボウへ迷い込むようだ。

その前には名だたるハイエンドアンプの数々が色を失ってしまった・・・

しかしその事実は消し去られた。
早すぎたメシアか悪しきキメイラか・・・

でも、まもなく恐竜のごとく巨大なアナログアンプが闊歩する時代は終わりをつげる。
それまでは、XR700を手に入れられた僥倖に満足しつつ、じっと待つ事にしよう。