ジョコビッチの練習時の映像です。
実は練習風景の映像はとても有用です。
試合前に中継によっては互いのウォーミングUPを見せることがありますが、試合中より注視しますね。
特にフォームを見るようにしています、ストレスのかからないフォームが本来の姿なのです。
試合になると相手の打つボールはスピード、コース、強弱、回転、高低、全部違います。
ワイドに振られたり、前に落とされたりと多様な場面に対応しなければいけません。
それを常に同じフォームで打とうとする事に無理があるのです。
ジョコビッチに限らず一流のプロなら、例えばマシンから飛んでくるボールを打ち返すとしたら、寸分違わないフォームでまったく同じように打てるでしょう。
人間相手でもまるで機械のように同じフォームです。
こちらはマレー
話は変わりますがオープンスタンスの定義とはなんでしょうか?
テニスのスタンスとしては、オープンスタンスの他にスクエアスタンス、クローズドスタンスがあるというのが一般的です。
さらにセミだ、フルだと勝手に付けて区別してる人がいますが(笑)
わかりやすく説明してる言葉としては、スクエアスタンス 前足を軸足に対して前方に踏み出すスタンス。
クローズドスタンス 前足を軸足に対してクロスするように踏み込むスタンス。
オープンスタンスは前足を横に並べる?スタンスとあります。
では、ジョコビッチとマレーの映像を見て明確に区別できますか?
二人共、右利きでバックハンドは両手打ちです。
バックハンドは映像を見る限り、スクエアとクローズドスタンスで打っていますが、ファオハンドについてはどうですか?
クローズ?スクエア?オープン?
少なくとも前足を横に並べては打っていませんね!
一般的アマチュアは、言葉に惑わされがちです。オープンスタンスなのだから足を横に開いて、まるでボレーのスプリットステップのようなスタンスで打たなければ!などと思い込んでませんか?
ここで軸足について考えてみます。
※話をわかりやすくする為に以下は右利きの場合
人体の構造上、身体を回転させるには両足のどちらかが軸になります、身体の中心を通る軸ではありません。
テニスにおける軸とは回転運動の軸です、テニスには腕を平行移動させるショットもありますが、全体としてみると回転運動なのです。
回転するコマをイメージするとわかりやすいですが、軸がぶれたり重心が上下に動くと、回転スピードが遅くなったりふらついたりします。
これはこのままテニスのスイングにもあてはまります。
以上の事を踏まえた上でジョコビッチとマレーの映像を見ると、バックハンドは前足(右足)が軸足になっています。
後ろ足(左足)からの体重移動の様子も明確にわかります。
ここでのポイントは体重が乗る足と軸足が同じという事です。
では、フォアハンドはどうでしょうか?
とても微妙ですね、ジョコビッチもマレーも、軸足は右足ですが、体重(荷重)は打つボールによって前足(左足)に乗ってるように見えます。
※アプローチショットの場合は明確に前足。
※スクエアスタンスの場合、前足が軸足となるのは一般的ですが、現代テニスではオープンスタンスとスクエアスタンスの区別が曖昧になっており、よりボデイターンが活かせる右足を軸足にするのが主流です。
これを見てオープンスタンスは、右足から左足へ体重移動をして打つなどと言ってる人がいますが、これは間違いです。
詳細に見ると、マレーに比べてジョコビッチは、右足荷重で打とうとする意識が強い。
こちらの映像ではそれがよくわかります、これが世界一のスイングの所以なのでしょう。
こちらはフェデラー
より実戦的な練習ですが、明確に右足を軸足とする意識を持ってるのがわかります。
軸足に体重を乗せて打つのが最良である事に違いはないのです。
もう少しなぜ右足が軸足になるかを考えてみます、
これは軸である右足の延長上に右肩があるからです。
右足→右肩が直線状にあり、その線を軸にして右腕が伸びています。
これは回転運動として考えると効率が良いのです。
シングルバックハンドのスイングスピードが早い理由もここにあります。