不思議なスイングですねえ
誰とも似てませんし、無論マネをする人もいないでしょう。
ファアハンドもバックハンドも個性的ですが、特にフォアハンドが特徴的です。
ほとんどバックスイングをとらないで、かといってボディターンもあまりしません。
身体はほとんど正面を向いたままで、左手はスイング中ほとんど動きません。
クローズドスタンスならまだしも、オープンスタンスでは普通あり得ないですね。
バックハンドは一般的なフォームですが、それでもバックスイングはあまりとっていませんね。
普通このようなスイングでは、ボールに勢いがつかないのですよ!
確かに、この年齢で現役なのは身体能力に優れてる面もあります、でも体格的に格段パワーがあるとも思えません。
注視して見ると、自分で球出ししている場面がありますが、下半身を使って勢いをつけてます。
そうしないと、この打ち方ではボールが飛んでいかないのでしょうね。
奥のコートで大柄の女性が練習しています。
たしか日本のランキング選手だったと思いますが、打ち方の違いがわかります。
伊達は、バックスイングをあまりとりませんし、打球後のプロネーションもほとんど使いません。
ラケットをボールにぶつけるようにして、その1点に力を凝縮しているように見えます。
スイング中の軸のブレもありませんね。
他方の女性は、バックスイングもフォロースルーも大きく、一見力感あふれるスイングですが
無駄な動きが多く、特に打球時に身体を前に動かしています。
これでは軸がぶれて、ラケットのパワーをボールに伝えきれませんね。
プロの世界では、無理や無駄なフォームやスイングでは勝てません、ランキング上位の選手は、多少の個性はありますがみな似通った打ち方です。
かつては非常にユニークな打ち方をしていたプレーヤーがいましたが、いつのまにか淘汰されてしまいました。
現代テニスでは、それは当然な事なのですよ!
ランキング上位の選手は、徹底的に研究されます、そして皆、優れてる点を取り入れようとします。
特にストロークはそうなのです。
似てくるのは、当然なのです。
では、なぜこのような打ち方にしてるのか?
伊達は、もともとライジングショットを得意にしています。
ライジングで打つことの利点のひとつは、相手のボールの勢いを利用できる事です。
相手が強打してくれば、ライジングでの返球はより勢いを増すのですよ。
また、相手にとってはボールが返ってくるタイミングが早い上に、コースが読みにくい。
もちろんライジングショットは、早いタイミングと予測が必要なので、誰でも出来ると言うものでも有りません。
ただ、欠点は緩急をつけられると対応がしにくい事、打ち込んでいくのには、より早いスイングスピードが必要になるので返してるだけでは、決定力に欠けるのです。
ビーナスウイリアムズとの試合を見たことがありますが、強打をことごとく返して相手のモチベーションを下げ、体力の消耗を誘ってました。
伊達は第1セットを取られても、逆転で勝つ事が多いのですが、それもうなづけますね。
先日、TVで本人がコメントしてましたが、ラケットを10g軽くして370g!にしたそうです。
無論、市販モデルとは違うのですが、ほとんどの選手が市販モデルをそのまま使ってる中で、とても稀なケースです。
ストリングス、グリップテープ、振動止を入れたら、おそらく総重量は400g近くになるでしょうね。
男性でもなかなか振れないし、女性では一般アマチュアでは無理。
それに普通、そんなに重いラケットは、マイナス面ばかりでメリットがありません。
ご存知かもしれませんが、伊達はトップスピンのサーブが打てません(打たないのではない)、これは本人が言ってるので間違いないのですが・・・
この重さのラケットでは、トップスピンサーブは肩への負担もあるので確かに無理かもしれないです。
フラットサーブと、サイドスピンのサーブがほとんどですね~
無論、プロのレベルのサーブですから、一般アマチュアとは比較になりません。
ちなみに女性でトップスピンサーブを打てない(打たない)人は珍しくありません、背筋と腕力を使うのでもともと難易度が高いのですよ。
いろいろ考えると、伊達のスイングは、このラケットの重さを活かすためなのではないかと思われます。
どちらが先かはわかりませんが、以前から重いラケットを使ってるという話はありました。
ブロック気味のリターンやボレーは、ラケット重量があった方が面がぶれにくくなるので有利です、ライジングショットも、より相手のボールの勢い(重さ)をはね返すにはラケット自体の重さがあった方が良いのですよ。
とにかく、彼女が40代で今のランキング(JTA2)を保ってるは、この不思議な打ち方とラケット重量のおかげと言って良いでしょうね。